2002-2003年度 卒業発表会内容紹介

回転寿司のイメージ

Margaret Su (U of Michigan)

第二次世界大戦後、日本における食文化は著しい変化を遂げてきたと言われている。特に海外からの影響を受けると同時に海外の食習慣にも影響を与えたと考えられている。しかも、日本の経済成長及び技術発展と共に、日本における外食生活は一般化し、最近の社会傾向、つまり働く女性の増加、又単身世帯や高齢者世帯の増加等という理由でさらに浸透していったと思われる。そこで、外食産業の一つである寿司産業、特に回転寿司を取り上げ、その顧客側と業者側の回転寿司のイメージについて述べたいと思う。

日本外交の役割:米国、国連との関係

Carlton Vann (Columbia U)

イラク戦争後米国と国連の関係がさらに悪化し、日本の外交にも影響を与えている。日本政府はあくまで米国の軍事指針を優先的に支持するべきだろうか。あるいは、日米同盟を維持しつつ、国連で重要な役割を演じられる可能性はあるだろうか。二十一世紀における日本外交は岐路に立っている。本発表では、まず、日米関係を簡単に概観し、日本と国連の関係を考察する。そして、これからの日本外交について意見を述べていきたい。

「花に水を与える仕事」:学習における教師の立場から見た教師の役割

Philip MacLellan (U of Illinois)

「教師とは何か」‥‥グローバル化のなか世界中どこでも教育上の議論は非常に重視されている。特に、教育熱心な国、日本では21世紀に向かって義務教育課程の改革及び高等教育の新たな方向の中で教えるという行為について注意深く検討している。カナダ、アメリカ、及び日本で教え、教師と学習者の関係に大変興味を持っている私は、どのように学習者の上達を促進させるのかについて教育心理学の視点から研究している。このプロジェクトでは教師の役割に関するアンケート、及びインタビューを通して教師の生の声を明らかにしたい。

摂食障害:治癒への道

Lauren Shaman (Tufts U)

摂食障害の患者に対しては、「変わった人」とか「心が弱い人」等様々なステレオタイプが存在する。その上、自分自身や周囲にいる人とは無関係だと信じ込む人が多い。しかし、摂食障害は一般に考えられているほど珍しくはない。この発表ではどのように摂食障害を乗り越え、どのような治療で回復するかについてお話する。初めに背景知識として摂食障害の症状について簡単に説明する。次に治療に関して患者自身がどうすべきか、そして周囲にいる家族や友人が患者のためにどんな事ができるか、しなければならないかについて述べたい。

コンビニの市場開拓

Landon Thorpe (Stanford U)

コンビニ業界における競争は大変激しく、各コンビニは絶えず新しいサービスを追求してきた。そのおかげで市場は拡大し、コンビニは日本人の生活の中で、なくてはならないものとなっている。

最近コンビニは銀行と郵便局の役割も果たすようになった。例えば、セブン-イレブンはアイワイバンクをつくり、客はコンビニから小包を宅急便で送る。このようにコンビニは銀行、郵政公社と競争しているが、一方それらと提携の形で協力するようにもなっている。こうした結果、消費者には、さらに便利なサービスが受けられる可能性が出てきたのである。

外来語について

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

三宅島被災者帰島への道

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

日本アニメのグローバル化:アニメは日本文化を代表するか?

Annie Manion (U of Chicago)

現在世界中でグローバル化が進んでいます。最近、海外で日本のグローバル化に貢献するのはアニメだと少しずつ認められるようになってきました。アニメの影響はフランス映画からアメリカの音楽にいたるまで見られるので、アニメは日本文化を代表するという意見は当然だと思います。しかし、日本文化を海外に紹介するために、アニメを使うのは効果的なのでしょうか。日本文化を誤解する危険性があるのではないかという疑問が起こります。この発表では,日本文化の代表としてアニメを扱う場合のプラス面とマイナス面についてお話ししたいと思います。

堂々たる日本のゲーム産業

Shawn Bonham (U of Washington)

夢かうつつか区別のつかない、テレビ画面上のパラレルワールドの実現につとめる堂々たるゲーム業界。総合売上高やソフト品質の面では世界に冠たる地位を確立してきた日本だが、これは果たして長続きするのだろうか。ゲーム産業の移り変わりをめぐる歴史から出発して、ソニー、マイクロソフト社、そして任天堂という大手メーカー別の戦略や特徴を解明する。次に技術者の育成問題、シリーズ化による独創性の欠如など、日本のゲーム産業の直面する問題点を取り上げ、最後に東洋と西洋を結ぶ、架け橋としてのゲーム像を窺う。

鬼か人間か:江戸時代の「キリシタン」像

Jan Leuchtenberger (U of Michigan)

江戸時代の色々な物語には、外国人が鬼や動物のような悪役を演じている部分がある。描写そのものも面白いが、江戸時代においてこのような描写がどのような役割を果たしていたのかという疑問も興味深い。この発表では二つの物語の描写を取り上げ、どうしてこのような描写がなされたのか、そして、読者は外国人に対して一体どのようなイメージを持っていたのかという点を考察したい。

日米野球:文化の違いから生まれる誤解

Devin Elliott (U of Arizona)

日本の球団と契約したアメリカ人プロ野球選手は、実力があるにもかかわらず、日本の球界では活躍できない場合が多いです。それには色々な理由があるのですが、この発表では、特にピッチャーのケースを取り上げ、1.アメリカと日本のトレーニングの仕方の違い、2.試合における戦略の違い、3.外国人選手に対するイメージが生む誤解、の三点に触れ、具体的な例を挙げながら説明したいと思います。

戦争の記憶:戦前マリアナ諸島に居住していた日本人の場合

Jessica Jordan (Arizona State U)

戦前、つまり1920年代から40年代の前半まで日本人は「南洋」のマリアナ諸島に居住し名実ともに日本の社会を造っていた。その半世紀後、私は「南洋」で生まれ育った。サトウキビの代わりにこの時代の遺跡に囲まれて育ったため、以前存在した社会を理解するために、日本人の当時の記憶が集められた本を読み、繰り返し表れたキーワードや表現を集めて分析した。この発表では当時沖縄からマリアナ諸島に移り住んだ労働者やその家族などの記憶を紹介する。

悪の典型:井原西鶴の「本朝二十不孝」

David Gundry (Stanford U)

親孝行の典型を挙げる「二十四孝」という中国の儒教的な説話とは逆に、井原西鶴の「本朝二十不孝」(1686年刊)には甚だしい不孝の例が描写されている。端書きではこの二十話は世人を孝の道へ導く訓戒であるというように説明されている。確かに、厳しい道徳的な教訓のような側面もあるが、滑稽なところも少なからずあり、パロディーに近い部分もある。「本朝二十不孝」の多くの悪玉の行動は信じ難い程極端であり、それに西鶴の「好色一代男」などの浮世草子と同じく、筆者がまるで遊んでいるように、様々な古典文学作品が真似されたり引喩されたりしている。こうした理由で、「本朝二十不孝」は部分的には儒教的な説話というより、一種のアイロニーを込めたブラックコメディになると思える。

認可後4年のピルの現状:日本女性のピル意識と利用方法(アクセス)

Malaya Ileto (Columbia U)

日本ではアメリカに40年も遅れて、世界各国で避妊法の主流をなすピルが1999年に認可された。これによって、日本女性の避妊法の選択肢が増えたはずであった。しかし、認可からすでに4年も経っているのに、日本女性はピルについてまだ基本的なことさえ分かっていないのが現状である。そこで、ピルについての情報はどのように提供されているのか、女性の選択肢が増えたことは事実なか、それともむしろピルの認可は象徴的なものにすぎないのか、ということを調べてみることにした。本発表ではピルの歴史を背景にして、現代日本女性のピルに対する意識やピルの利用方法(アクセス)について述べたいと思う。

ジェンダーは何によって表されるか?:男性性や女性性を表す行動や言語

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

横浜のホームレスへの支援

Katherine Teela (Carlton C)

日本のバブル崩壊後、日本でのホームレス問題はますます深刻になってきている。厚生労働省の調査によると、横浜は全国でホームレスの多い8つの市区の一つである。本発表では横浜、とくに寿町という寄せ場にいるホームレスに焦点を当て、その実態を明らかにして行きたいと思う。去年の8月に、ホームレスに関する法律が制定された。横浜市中区はその法律をもとに、どのような支援を行っているのか、その支援策について述べ、問題点を指摘していく。また、中区役所の支援の欠点を補う活動をしているNPOの「さなぎ達」という民間支援団体についても紹介したいと思う。

視覚障害のある外国人をも対象とする日本語教育

Wai Yee Reiko Chan (Ohio State U)

現代社会においては国際化により、自分の母語だけではなく、外国語を第二言語や第三言語として勉強する必要が生じてきた。

しかし、今までの外国語教育課程は健常者を対象としたものがほとんどである。例えばアメリカの大学では、障害者が健常者と一緒に学習することは稀ではないが、外国語学習の課程においては、視覚障害者、聴覚障害者、言語障害者などはほとんど見られない。それは、健常者とそれら障害のある人たちが一緒に学ぶことを想定して作った課程がないからにほかならない。

本発表では、アメリカの大学において視覚障害者と健常者が教室内で一緒に日本語を学ぶ上での問題点、そしてその対策を考え、従来の日本語教育課程の改善を目標とする。

川端康成の文体の特徴

Arthur Mitchell (Yale U)

新しい文学をもたらすには新しい知覚と新しい表現が必要だと唱え、川端康成は作家として独創的な文体を作ることに工夫をこらしました。名作の『雪国』から文体の典型的な例を取り上げ、分析を行いたいと思います。特に情景描写に焦点を置くつもりです。直喩と隠喩の遣い方、イメージの成り立ちと展開、川端康成の文体を代表する二、三の特質を定義していきたいと思います。

日本における児童ポルノ:どこまで許されるのか

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金融ビックバン以降の外資系金融企業の日本への進出

Pei Ling Pauline Yang (U of Chicago)

1998年日本で「金融ビッグバン」という金融自由化政策が実施された際、人々は外資系企業が国内市場を席巻してしまうのではないかと恐れた。しかし、過去5年間の結果はそれほど単純ではない。非常に成功した会社もあるし、すぐに多額の損失が生じ、日本から撤退した会社もある。多くの外資系企業が日本で失敗するにつれ、東京は外国からの投資の対象として、もはや魅力がないという声も強まった。

本研究は、この「金融ビッグバン」が、外資系金融企業を日本の市場に導入するという当初の目的を達成したかどうかを検証するものである。日本の金融市場は今後どうなるのか、そして海外からの投資を引きつけるためにどのようなことができるのか、これらの問題も考えていきたい。

自衛隊に対する日本の大学生の意見

Grace Cho (Yale U)

日本の大学生の自衛隊に対する意見についてアンケートとインタビューを実施した。本発表ではその結果報告をし、考察をしたい。アンケートでは自衛隊がどのぐらい大切だと思われているか、日本は軍隊を保持できるように憲法を改正するべきか、などについて尋ねた。インタビューは横浜国立大学の学生三人に自衛隊は国家防衛のために十分だろうか、これからどのように進むべきだろうかというテーマで行った。

バーから見た横浜のこの30年

Ben Wiley (U of Illinois)

今回の研究は、安くはないバーをいろいろ回った調査の結果です。精神的苦痛を感じた時もありましたし、身の縮む思いでおこなったインタビューもありました。これらのインタビューを通して得た情報をもとに、横浜のバーの特徴についてお話します。そして、バーから見た横浜のこの30年の変遷についてまとめてみたいと思います。艱難辛苦の末、ようやくこうした発表をすることができるようになりました。古いバーを通して、横浜のこの30年を楽しく見てみたい!

タブララサ:詩による女性自身の再発見

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夜の街を撮る写真家森山大道:その被写体と技術

Thomas O'Leary (U of Southern California)

写真家森山大道は1938年に大阪で生まれ、1961年東京に移り、著名な写真家細江英公のもとで写真を勉強しました。そして60年代に自分のスタイルを確立しました。つまり強いコントラストの白黒写真で日本の本当の生活、あるいは「命」を撮ります。しかし彼の作品をどのように解釈すればいいでしょうか。写真の技術的な面だけで、あるいは被写体だけで解釈できるのでしょうか。写真を正しく解釈するには技術、被写体の二つの面を同等に扱い、読みとる必要があります。そうすれば森山の意図あるいは考え方がわかるでしょう。つまり森山は白黒のコントラストによって日本社会を表現し批判しているのです。

持続可能な社会:理想から現実へ

Lisa Hawes (UCLA)

最近、「持続可能な社会」という表現がよく聞かれます。持続可能な社会というのは、自然を守ると共に、コミュニティーを改革していく社会のことです。この概念の根本的な原理は、何世代も続いている豊かな社会を持続するために、社会と自然の両方の問題を大切にし、それらを解決しなければならないという考えです。日本国内では、このような考え方は「里山」という概念に代表されています。横浜市の中で、様々な地域団体は持続可能な社会、あるいは「里山」という概念を推進し、環境とコミュニティーを改革する活動を行っています。

この発表では、「持続可能な社会」、また「里山」という概念を説明し、横浜市にある持続可能な社会を作ろうという意識を持っている二つの組織、横浜市の緑政局、そして大岡川FunClubの活動を紹介します。

IT革命?

(本人の希望により、このページへの転載は控えさせていただきます)

清代台湾における地方行政

Michael Chiang (U of Michigan)

清代台湾における社会秩序は極めて混乱していた。康煕二十三年(1684年)、清朝は台湾を版図に組み入れてから台湾を212年にわたって領有したが、一説によれば、重大な反乱がなんと70回も発生したという。その上、清代台湾移住民の内部闘争ともいうべき「分類械闘」がしばしば勃発したこともあり、18世紀の台湾では「五年一大乱、三年一小乱」という流言が次第に定着した。果して、当時の台湾は大陸と比較してそれほど乱れた社会だったのだろうか。清代史料を見ると、確かに清国政府は慎重に台湾の現状を考慮した上で、台湾への統治政策を講じてきたことが分かる。それなのに、なぜ清代台湾が無秩序な場として知られてきたのだろうか。この発表ではこの問題を取り上げる。

日本におけるモルモン教:普遍的な信仰対文化的な嗜好

Adam Rasmussen (U of Washington)

キリスト教の一つの教団として、モルモン教は、言うまでもなく、日本の伝統的な宗教と基本的に違います。信仰の問題について、争いは不可避です。その上、キリスト教は西洋で生まれて、モルモン教はアメリカで創立されました。ですから、これらの宗教は日本とは異なる文化に基づいています。考えれば、キリスト教、あるいは、この場合には、モルモン教に入信する日本人にとって、色々な摩擦の可能性があります。私の議論は、ある宗教の基本的な信仰と文化に基づいている習慣を分けて考えれば、そのような摩擦が和らげられるということです。モルモン教の様々な宗教活動に関する議論を検討したいと思います。

家庭内暴力

Kyla Mitsunaga (UC San Diego)

家庭内暴力(DV)とはいったい何だろう。日本での家庭内暴力の現状はどうだろうか。2年前、先進国としては最後に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」を成立させた日本はまだまだ遅れていると言えるが、注目したいのはこうした防止法があってもDVの被害者が日本の男性または加害者から守ってもらえるかどうかは疑問だという点である。それにDVは女性被害者だけの問題ではなく、むしろ社会問題になっているのではないだろうか。

日本の温暖化防止対策にひび?

Richard Sleboda (Cornell U)

日本政府は1990年にCO2排出を抑制する試み「温暖化防止行動計画」を打ち出したものの、2000年に日本のCO2排出は大幅な増加を示した。既存のエネルギー政策の路線をもはや歩めない日本政府は、この教訓を受け、京都議定書に定められた2008年までの6%削減という目標を達成することができるだろうか。本発表ではまず、はじめに去年の京都議定書の批准、そして改めて決定された温暖化対策大綱、及び改正地球温暖化対策推進法を背景に、簡単に政府の方針を紹介し、次に国民を対象にした啓発広報活動、道路建設の政策、そして原発の増設問題といった三つの課題に焦点を絞り、政府やNGOの資料、世論調査、インタビューを参考にしながら、日本の地球温暖化対策について概観したい。

不良債権問題と日本の金融再生

James Fyffe (U of San Francisco)

1980年代後半のバブル経済の時期には日本の経済成長率が3~6%程度に伸びましたが、1991年のバブル崩壊と同時に1%程度に急落しました。それ以来、マイナス成長を含めて低水準にあえいでいます。90年代の日本の経済を考えるとき、「不良債権」がキーワードの一つになっています。長引く不況から抜け出し、一日も早い景気回復が待たれる今日この頃ですが、銀行の不良債権が景気回復の足かせになっていると言われています。銀行が不良債権さえ処理すれば、景気が良くなるというわけではありませんが、処理しないと、景気が良くならないということもあります。発表では、この不良債権について話してみたいと思います。

最近の在日文学:その傾向と可能性

Timothy Webster (U of California, Berkeley)

最近とは、ここ15年間に出版されたもので、在日とは在日韓国朝鮮人に書かれた少数民族としての体験を描写する作品のことである。この定義により、二人の小説を選んだ。一つは李良枝(イヤンジ)という在日作家の1989年芥川賞受賞作の『由煕』で、もう一つは金城一紀の2000年直木賞受賞作の『GO』という小説である。二人とも在日の背景を率直に認めており、金城はコリアン・ジャパニーズと自称するに至った。日本の文壇の中で「在日文学」という分類があるかどうか分からないが、彼らの作品を簡単に紹介してから、在日のアイデンティティーが小説にどのように描かれているかという問題を取り上げたいと思う。

日本における法廷通訳の実態

Cory Blandford (Indiana U)

日本における外国人が被告となった刑事事件数は、平成13年に過去最高を記録している。外国人の被告人は裁判所における手続きを解し、それに参加するだけの日本語力を有していない場合が多いため、裁判所で立ち会う法廷通訳の需要は依然として高い。しかし、日本では法廷通訳の語学力や通訳技能を評価するための制度ができておらず、法廷通訳の誤訳などが被告人にとって不利な結果に繋がる事件も日本のマスコミで取り上げられてきた。さて、もし法廷通訳候補者の適性を判断するための認定制度がないのであれば、日本における法廷通訳の選任はどのように行われているのであろうか。今回の発表では、この課題を取り上げることとする。

ラテンアメリカのNGO:レコムを例として

Caroline Walsh (Stanford U )

レコムは日本のNGOの団体で、正式には「Red de Cooperacion Mutua entre Japon y America Latina(日本ラテンアメリカ協力ネットワーク)」といいます。1993年にラテンアメリカを対象とする教育機関として設立されました。現在では日本国内とラテンアメリカの両方で活動を行っています。彼らが今現地で手がけている一番大きなプロジェクトは、グアテマラのコナビグアという農村で女性達を支援する活動です。

発表では、このプロジェクトを紹介しながらラテンアメリカにおけるNGO活動を考えていきたいと思います。

「日英」通・翻訳の問題について

Adam Beal (U of Illinois)

米国国務省によると、英語話者にとって日本語は世界一難しい外国語の1つである。その難しさは文字や発音にとどまらない。語順や文型や文章の構成なども英語と完全に異なる。要するに、日本語と英語の共通点は極めて少なく、英語話者には日本語話者とのコミュニケーションがまさに世界一難しいとも言えるであろう。こういう背景をもつ日英通・翻訳は一体どう行われているのか。翻訳者として、どんな落とし穴を避けねばならないのであろうか。上記の問題を取り上げ、通・翻訳業界はどのようなものかを明らかにしたいと思う。多くの通・翻訳者を対象にしたアンケート調査といくつかのインタビューを行い、最後に自らの経験を通して日英通・翻訳の謎に迫る。

漢字学習の次なる段階:hana学習ストラテジーとhana FLASHKANTEXTを中心として

Daniel Stuntz (Ohio State U)

今回の発表では「漢字学習の次なる段階」を紹介する。その次なる段階とは「hana FLASHKANTEXT」という初級~上級学習者のための漢字学習ウェブサイトである。このウェブサイトのプロトタイプをお見せしながら「hana学習ストラテジー」について話したいと思う。「hana」とは「hear act navigate achieve」の頭字語で「聞く、行動する、導く、達成する」ということを意味する。これは、当ウェブサイトがどのような形で漢字学習に役立つかを端的に表現した言葉である。時間があれば、最後に、未来の漢字学習がどうなるだろうかという点についても触れたい。

森鴎外の「興津弥五衛門の遺書」の考察

Joseph Dreher (Washington U in St.Louis)

日本は歴史的な物語について豊かな遺産を有しています。これは奈良時代の正史から十世紀の歴史物語を経て平安時代の軍記物語まで受け継がれています。また、歴史を主題としたものは浄瑠璃、歌舞伎、能や講談などにも多く見られます。大正時代には、マスコミの出現や歴史と国家意識の発展によって、歴史小説と時代小説という近代的な歴史物語が生み出されました。 本発表では、いわゆる最初の歴史小説、森鴎外の「興津弥五右衛門の遺書」という短編小説についての考察を述べたいと思います。まず、森鴎外とその作品について触れ、次に、歴史小説の出現や森鴎外の「歴史其のままと歴史離れ」という論について説明します。最後に、「興津弥五右衛門の遺書」の初稿と第二稿とを比較し、解釈を加えていきます。

朝鮮における第一銀行

Howard Kahm (UCLA)

明治維新後、日本政府は近代的な銀行制度を設立し、最初の第一国立銀行は日本の金融制度を新しい方向に導いた。その一方で、第一国立銀行(のちの第一銀行)は、日本政府が強制的に開港させた朝鮮に帝国主義的に進出した。その後、第一銀行の朝鮮支店が朝鮮経済に与える影響は大きくなった。朝鮮併合後、第一銀行の支店は朝鮮銀行に名を変え、中央銀行として植民地朝鮮における最大の経済的な権力を握ったのである。

被害者化の響き:現代日本における国家意識、集団記憶と「黙祷サイレン」

Joseph Hankins (U of Chicago)

西欧の神は数百年間かかって死んだ。一方、日本の現人神は「人間宣言」により、1946年1月1日に消えた。その結果、かつて血縁、人種、宗教、ネーションを重視する形で頑強な一体感を創出した国家家族の柱が揺らいだ。天皇が象徴化された戦後に入ると、日本国家意識を支える別の装置が必要不可欠になった。

発表では、このように機能する装置の一例として、広島と長崎の原爆記念日と終戦記念日に毎年鳴る「黙祷サイレン」について考えて見たいと思う。

ES細胞問題:日本の倫理的な立場から

Jeffrey Graves (U of Pennsylvania)

「ES細胞」(あるいは「胚性幹細胞」)というヒト胚を操作する技術は、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病等を治療する見込みのある医学的応用技術である。しかし、そこには倫理的な問題も非常に多くある。

本発表では、ES細胞とは何か、この技術の倫理的な問題は何か、この議論の余地のある技術に対して、日本政府はどのような規制を作ったのか、なぜ日本では大きな社会的「問題」になっていないのか等について検討する。

拉致被害者:メディアの人質

Gregory Turk (Northwestern U)

北朝鮮による日本人拉致問題についての報道の弱点と歪曲に関して発表する。まず拉致被害者が帰国する前の背景や展開を簡単に説明したのち、帰国後の実態に焦点を当てる。具体的には、拉致被害者についての報道が大げさになったり捻じ曲げられたりしてしまったという状況を明らかにする。そして、その誇張や歪曲は、日本のメディアのどのような弱点によって起きたのかを考える。結論として、このような報道によって大きく世論に変化がもたらされ、それは日本政府の北朝鮮に対する姿勢に影響を与えたということを説明する。

沖縄音楽の特性

Launa Sims (U of Florida)

沖縄の音楽には独特の音があるとよく言われるが、実際にその特性を細かく記述するのは簡単ではない。しかし、少しでもその分析を試みたいと思う。初めに、簡単に沖縄音楽の歴史に触れてから、沖縄民謡でよく使用される楽器,詩形、音符などの様々な要素に注目する。それから、日本本土の伝統音楽と比較しながら、沖縄民謡の違いや目立つ特徴を指摘する。

鎌倉時代の仏教僧・叡尊と忍性:「新仏教」と「旧仏教」の問題を中心に

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平安貴族のイメージと実情

Jonathan Adams (Columbia U)

平安時代の文学遺産には様々な作品があるが、おそらく一番優れていて最も知られているのは『源氏物語』だろう。しかし、『源氏物語』に描かれた平安貴族の生活はどのぐらいその実態にそっているのだろうか。物語だからやはりその中の人物はある程度理想化されているのではないか。実際には、平安貴族の日常生活のペースは非常に遅くて、男性は退屈な意味のない仕事を繰り返し、女性は暗くて居心地悪い家の中で暇すぎる余り逆に苦労しているのである。日常生活は複雑な迷信に制限されていて、いくらささいなことであっても暦と様々な占いで吉凶を調べなければならない。家族の関係は非常にあらたまっているが男女関係は極めて自由に行なわれている。要するに、平安貴族の理想化したイメージとその実像はかなり違うのである。

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アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター
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